インドの新型コロナ事情

インドでは新型コロナ感染症拡大防止策として、3月下旬に強制力のある外出禁止、ロックダウンが開始された。しかし、人の移動を突然禁止したために大都市に働きに来ていた人たちは、密集した状態で閉じ込められることになり、ロックダウン期間中、じわじわと大都市で感染が拡がっていった。6月初めから徐々にロックダウンが解除されていったが、都市閉鎖の間に経済が悪化し、多くの失業者が出た。ロックダウン解除と同時にその人たちが大都市から周辺都市や地方へと向かい、人の移動が、大都市周辺や地方での感染を拡大させた。デーリーやムンバイなどの大都市での感染は抑えられつつあるものの、その周辺の都市や地方都市では感染拡大が続いている。そこから、さらに田舎のほうにも広まりつつある。最近では、ハイテク産業の中心であるベンガールで感染拡大に伴い再封鎖が行われるなど、感染状況に応じて、地区を限定して再封鎖も行われているようである。

感染者数(約120万人強)はアメリカ、ブラジルに次いで3番目に多い。しかし、死亡者数(約3万人)はアメリカ(約14万人)、ブラジル(約9万人)に比べて少ないばかりか、イギリスやイタリアよりも少ない。検死による確認が徹底してないこと、診断記録が限られていること等により、公表された数より実際の感染による死亡者数は多いといわれているが、それでも人口(約13億人)を考えれば、人口10万人当りの死亡者数は欧米諸国に比べてずっと低い水準にある。ベッド数が不足しないように、重症患者の受け入れのみに使い、軽症者は自宅療養させている。病院では患者が回復すると、検査で陰性を確認することなく自宅に帰宅させている。これによりベッドの空きを確保し、病院のたらい回しを防いでいる。現状、人口呼吸器を装着している患者は少ないが、国内のメーカーは月産300台から30000台に生産能力を上げて既に稼働を開始している。

死亡者を減らすために以上のような対策もとられているようであるが、今後とも注視が必要である。

*感染者数、死亡者数は、2020/7/24 現在のもの

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