インド 田舎のコロナ事情

インドではコロナ感染者による死亡者が連日4000人を超えていると日本では報道されているが、現実はもっと悲惨なようだ。感染は大都市から田舎に徐々に広がっている。

ビハール州とウッタル・プラデシュ州の境の村での出来事だ。ガンジス河の川岸を野犬がさまよっているので、不審に思って村人が行ってみると異臭がし、多くの遺体が放置されていた。野犬は遺体をあさっていたのだ。この辺りはインドでも最も貧しい地方で、他にも同じような光景が見られている。ヒンズー教では遺体は薪で火葬し、聖なる川、ガンジスに遺骨や灰を流すのを慣例としている。しかし、彼らには薪を買う金がない。せめてもと、遺体を川岸に放置していたのだ。

このような田舎ではPCR検査などは行われていない。従って、犠牲者も公式の死者数には入ってない。インドでは医療費の個人負担割合が高く、感染すると薬や酸素を自分たちで買わなければならないがその金がない。救急車の運転手はコロナ患者を運ぶ場合、特別に料金を要求するが、それも払えない。その結果、治療も施されずに亡くなるケースも多い。

ある調査によると2020年1月の時点でインド人の4.3%が1日の収入がインドの貧困ラインである150ルピー(約230円)以下だったが1年後には割合が9.7%、1億3000万人に増加しているそうだ。その多くは田舎から大都市に働きに出てきている労働者だ。ロックダウンで仕事を失った人々が田舎に帰りコロナ感染を拡げ、多くの犠牲者を出している。

大都市と田舎の経済格差の大きなインドであるが、今後、このような悲劇が繰り返されないことを祈りたい。

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